Q.工場内自動化のひとつとしてロボットの導入を考えています。ロボット選定において大切な事は何ですか?

A.運用を踏まえて装置自体の使い勝手をきめ細かく考えられた使いやすい装置を作ってもらうことです

まずロボットを使用した設備の場合、御質問のように数あるロボットメーカーのどこを選定するかが頭を悩ませるところだと思います。ロボットメーカーも各社 方向性があり低コスト化に進むメーカーや知能化に進んでいるメーカーもあります。又、ロボットの形態も 直交型、スカラ型、垂直多関節型、パラレルリンク 型とバラエティに富んでおり現在の日本ではこれらを自由に選択でき、より使用用途に適したロボットの選定が可能となっています。

これらの中から適切なロボットを選ぶとすれば、結局はその業界の経験豊富なシステムインテグレータ(つい数年前まではロボット周辺機器屋とよばれていた)と導入の目的、コスト等親身に相談される事が一番とお思います。

マスコミでも話題となるようにロボットの導入は空前の伸びを示しており開発競争はさらに激化していますのでロボットメーカーは有用な機能をどんどん付加させています。私の知る限り日増しにロボットの機能が増え、取り扱い説明書もどんどん分厚くなっております。

そ れでもロボットメーカーは必ず「当社のロボットが一番操作が簡単」と言いますので導入の御担当は思い切ってどれかのメーカーを選定し工場内に設置されます が、これが稼動しだしてもなかなか現場から良い評価をもらえないケースが多くあります。結局は導入の御担当は細部まで理解されていますが、その方が休みや 出張、勤務時間等で不在の時や、ましてや配置転換等で担当が変わった後は、お荷物となってしまうケースが多いようです。これではパートさん、派遣社員さん が多い化粧品会社の生産現場では逆にロボットが使いづらくなってなってしまいます。

これらの事より最近はロボットメーカーもシステムインテグレータ制度を導入しだしました。

各 業界において自動化の設備を供給している経験豊富な会社と組む事により、その現場に適したロボットの選定や有用な機能の選択(不要な機能は隠す)、そして ここが一番大事ですが装置自体の運用(使い勝手)をきめ細かく考えられた有効な使いやすい装置を作ってもらって、ロボットメーカーは機能開発に専念できる よう役割分担を行うようになってきました。(ここがロボット周辺機器屋と呼ばれていたのに最近システムインテグレータと舌を噛みそうな名前に変わった所以 です)

自動化は1回行って終わりという事はありません。その目的もコストダウンを目的とするもの、品質確保が目的のもの、場合によっては 営業的を目的とする設備もあります。これらをその時の環境や体力に合わせ永続的に使用できる最適な装置の導入にはロボットメーカーの選定よりもむしろシス テムインテグレータの選定が重要と思われます。

最後に逆に絶対選定してはならないロボットメーカーというのはありまして、これは過去の経 験からしますと結局のところ、ロボット事業から撤退したメーカーとなります。ロボットは生産設備となりますので、償却が終わってからも当然利益を生むため に稼動さるのが当たり前ですが、導入して数年で撤退されたりしますと当然補修部品も無くなり、メンテナンスが不可能となりますので、償却前にロボットの入 れ替えが必要となります。もし自分が導入していたらと考えますと背筋が冷たくなる事でしょう。現に過去展示会では良く見たが最近見ないなあというメーカー が思い当たると思いますが、これらを選定された会社や御担当はの無念さは、想像を絶するものとなっております。

前記のようにロボットの開 発競争が激化しており、これには多額の資金が必要となっております。一昔前のように自社内でもたくさんロボットを使用するからこれを内製化し、一部を外販 しようというメーカーは存続が危ういと思われますので、ここのところは十分な注意を払われる必要があると思います。

前のページへ戻る一覧へ戻る

PAGE TOP