Q.化粧品は多品種でしかも新製品がどんどん増えるが、これに対応できるボトル自動充填装置のポイントは?

A.

機械の歴史は過去から製品を大量に安価に安定的に供給するという要望と共に進化してきました。
化粧品業界も戦後からオイルショック以前はこの生産形態での機械導入が進んでいましたが、消費者が豊かにになり、嗜好が細分化し多品種少量生産になると共にこれらの大量生産型マシンは生産現場の重荷になり敬遠され一時は手作業にまで戻った例もあります。
この敬遠された主原因は機械が製品を選び、他の製品を生産しようとすると交換部品が必要であったり時間がかかったり大きな費用が必要であるなど小回りが効かない事が原因です。

化粧品生産の現場は通常でも多品種少量生産、さらに年間数百品種の新製品が投入されながらも消費者が求める限りはできるだけ補充生産を継続されるのでお客様によっては年間1回の生産も増大しています。又受託メーカー様においても企画数は多いが初回生産で終わってしまうケースも多いと聞きます。
今後、化粧品生産は多品種生産(決まったアイテムを切り替えて生産)では無く一発勝負で即生産の 新製品対応力が必要とされています。

機械を導入検討されるきっかけは、生産数を上げたいとか精度を上げたい、人出が足りない等いろんなケースがあると思いますがその導入を期待される機械は大きく3つの重要な要素で構成されています。
その要素は
1.品質要素:充填、洗ビン、キャップ締めなどの実作業部
2.合理化要素:これらの工程間を自動で搬送、位置決めする搬送装置
3.無人化要素:部材を人手では無く自動で供給する装置
この要素が全て満たされますと無人生産が可能となります。
しかし前記のように新製品が頻繁に投入される生産現場では3)の部材供給の新製品対応力が現状ではまだまだ限られている為、500本程度の生産では非現実的となっています。
1回の生産ロット量でこの3つの要素を上手に組み合わせ、どの部分に重点をおくかが高品質化・合理化、コストダウンにつながる事となります。又、切り替えや新製品対応が多い化粧品業界ではこの3要素全てに
【どんな製品でも対応可能】が必須要素となります。

昨今では化粧品業界も製造と販売が分かれ、受託メーカー様は競合によりコストが大変厳しくなっています。又コンビニやドラッグストア向けの低コスト商品などによりその製造コストに占める人件費の割合をいかに下げるかが利益確保の大きなテーマとなっています。

一方2000年頃、団塊世代の神技パートさんの引退が現場の生産性に大きく影響し、さらには不慣れなパートさんの増加で人的ミスによるクレームが多発しているのも実情です

当然要素の1)2)3)全てが含んだ無人化ラインであれば人件費を抑え、人的ミスを防ぐ事ができますが、1ロット500本程度の生産では部材供給部で製品切り替えや新製品対応が大変ですので部材自動供給部の新製品対応力が熟成していない現在では最適とは言えません。

現状装置の当社から見た最適ロットは
・1)2)3)の無人化の要素を含んだ装置をお勧めするのは約8000本/1ロット以上の製品。
・1)2)の合理化の要素を含んだ装置は約500本/1ロット以上の製品
・1)のみの基本機能を持った単体機の手作業は約500本/1ロット以下の製品となります。

さらに1)2)の品質と合理化を期待した設備は対応ロット量の巾が大きいので細分化され約2000本/1ロット以上の製品は最少人員で構成されるラインタイプ。これ以下は作業者1名で多工程をこなすCellタイプが現在では効果を上げています。

1)2)の要素を持つ実作業部とボトル搬送位置決め部とを組み合した品質と合理化コストダウン効果を発揮する設備は現在品質、新製品対応力の機能が充実して多種の設備を選択できます。この辺りの生産ロット量が現在の化粧品工場では多くご要望が多いため設備が熟成しているということです。

当然設備投資には予算があり、この予算内で1)2)3)の要素をどう組み合わせて予算内に収めるかという事になりますが、合理化、無人化の要素を組み入れる場合、最も重要なのは合理化しその工程に作業者が着いていないわけですから基本の1)の実作業機器が安心して任せる精度を確保できているかがポイントとなります。せっかく合理化したのに充填した後で作業者が重量はかりで計りながら液を足したり引いたり、又キャップを締めた後で作業者が1本づつ検査しているようでは投資した意味が全く無くなってしまいます。又この工程を保証し社内社外に【見える化】する品質管理機器も重要な要素となります。

最後に3)の部材の自動供給ですが従来はデクスターやパーツフィーダなどのハード的に製品の重心、形状を利用して整列する方法が主流でしたが、製品の形状寸法が変わるとこれに合ったガイドの供給機を製作する必要があり、これが化粧品の生産形態と真反対に位置するため導入しても後ほどは使用しなくなる原因でした。これの解決策は当社ではいくらでも新しい製品を見せて覚えさせる画像処理技術にあると考え、2014年のインターフェックスジャパンの展示会ではボトル供給、中栓供給に画像処理とロボットの組み合わせをご提案し、ボトル製品の無人化運転を実現しております。今後はこの技術の熟成が無人化運転の対象ロット数を下げていく重要な開発課題と考えております。

最重要ポイントは、競争激化する中で、しっかり異物の取れる洗ビン機、精度の高い充填機、しっかり締まるキャッパーの間をどんな形状寸法のボトルでも転倒させず正確に搬送位置決めさせ、さらに必要に応じどんな部材でも自動供給できる機器を、生産ロット量に合わせて選択組み合わせ、高い目標に向かって自社に合った【最適な生産設備】を構築する事となります。

手作業から無人化まで又多岐に渡る化粧品に対し豊富なデータと実例がございますのでぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

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